団体戦
熊本大学のメンバー不足もあり、秋も福岡大学で開催されることになった。参加校は変わらず七校。活性化のためには参加校は多いほうがいいが、今の若手主体の熊大には六試合がちょうどいいという感じもする。
春は何とか三勝三敗の五分にし、上位復活の兆しを見せた。やる気のある一年生も入り、好成績が期待されていた。
八人しか参加者がいないので、作戦は主に並べ方ということになった。決定したオーダーと共に、大会前の展望を添えておく。
大将 西村
なかなかの実力を持つが、対局数の少なさと、対外戦での勝負弱さが心配。前回鹿大戦でのようなここ一番での勝利が期待される。
副将 吉田
大会では勝ちが多く、強化リーグでも番数をこなした。ただ、最近は勝ちパターンがはっきりせず、愚直に入玉を目指す情熱の復活があれば上位にも通用するはずだが。
三将 村上
現在のエース。対局数不足もあり心配だが、力があるだけに何とかしてくれるだろう。この位置で勝ち越せば上位進出は見えてくる。
四将 畑堀
ようやく全試合出場が回ってきた、ベスト8経験者。実力は気分しだいなので全く予想ができない。型にはまれば最強なので金星も有り得る。
五将 宇戸
安定してきたので、取りこぼさないことが使命。体力と気力を維持できれば、この位置での役割は必ず果たせるはず。
六将 入口
すでに部内ではほとんどの者から勝利を挙げている次世代エース。何気に序盤も進歩しており、かなりの好成績が期待される。
七将 内田
とんでもない速さで強くなっていく一年生。びっくり。まだ対外では未知数だが、のびのびやってくれれば相当いい勝負ができるだろう。
七将控え 亀石
人数の関係で控えだが、順調に強くなってきている。私の見解ではこのペースならば来年の春にはちゃんとした出番が巡ってくると思う。
昨年から思えばずいぶんと楽しみなメンバーになった。なんといっても三年生以下でこれだけのオーダーを組めたのが大きい。もちろん他大学も戦力アップしているだろうが、かなりいい勝負ができるはずだと思っていた。
前日の個人戦では福大の北川氏が優勝。九大が全学年にわたってリードする中で、理事長ながら研鑽を怠らない北川氏には感心するばかりである。優秀な指導者がいるということは、若手が磨かれているという可能性も大きい。福大もまた、春とは全く違った姿を見せるのではないかと予想していた。
一日目
対鹿児島大学 2-5
相手校には阿部氏がいなかった。それでも大苦戦だった。まずは入口が開始早々はまってしまった。飛車先突破された上にと金を作られる。一方もう一人の一年内田は落ち着いた戦い。西村も穴熊から歩交換で作戦勝ちに。そして村上は最後完璧に勝ちまず一勝、このまま行けばチームも勝ちかと思った。しかし西村は攻めが見えないのか意味のない馬の移動をし、その間に自陣に手がつき始める。宇戸は押し切られた感じで敗北。内田は優勢な場面からひっくり返され苦痛の玉の逃走劇。吉田は受けを間違え無念の敗北。結局五敗もしてしまった。畑堀はどうしようもない局面から粘って勝ち。終盤力が直接結果と結びついた一戦目となってしまった。
対長崎大学 4-3
こちらも古橋氏がいなかった。とはいえ総合戦力ではこちらが劣っているように見えた。まず内田は相手の駒損の攻めで飛車先を破られるも、作戦勝ちに。また入口も定跡形になり一安心。西村も穴熊から今度は落ち着いて相手の手を封じる。吉田も相矢倉から一方的な攻めに。畑堀はゴキゲンからの教科書の攻めが決まり必勝形に。宇戸だけが無理な構想から苦しくなっていた。そして村上は局面は難解だが相手が時間切れ、よかった……と思いきや、「音がおかしかった」との苦情が通り再開に。嫌な流れとなった。結局村上・畑堀・西村・入口と勝ったものの、吉田は入玉され逆転。内田も受けきれず負け、宇戸も最後までチャンスがめぐってこなかった。とはいえチームとして初勝利。順位上昇に向け弾みがついた。
対福岡大学 1-6
最近全然勝てない福大戦。こちらはオーダーをいじりようがないため、当たりを変えられてしまった。しかしこれは想定内のことで、はずされたとき勝ちにいく大将西村、のはずだった。しかし相手中村氏に対し失速していき敗北。吉田も北川氏に対し歩得から丁寧に指していこうとしたが、構想が疑問で攻めを与えてしまった。後は力の差が出て押し切られる。畑堀も相手の玉頭全てに位を張ったが、なぜか逆転負け。入口は二歩。内田もじわじわと寄せられた。結局村上がミレニアムで押し切った一勝だけにとどまった。
対九州大学 1-6
脅威の戦力を誇る相手に、やはりオーダーそのままで挑んだ。吉田は春の準名人大久保氏相手に丁寧に受けきり完勝。しかしそのほかは全員討ち取られてしまった。村上は向上氏相手に後一歩まで迫ったが、最後寄せが見えず負け。西村はここにきて無理気味の仕掛けをしそのまま敗北。他も波乱なく終わってしまった。
一日目を終え一勝三敗。勝ち越しの目はないが、順位はまだわからない。
二日目
対大分大学 6-1
ここで吉田をはずし亀石を入れた。その亀石は定跡をはずれ苦悩するも何とかいい局面を作る。しかし痛恨の駒のつかみ間違いで飛車が斜めに動き反則。悔しいデビュー戦となった。他はややこしいものもあったが皆勝ちきる。宇戸は今大会、内田は団体戦初勝利となった。
対北九州大学 2-5
順位のかかる最終戦は、畑堀をはずした。村上は相掛りから常に局面をリードし勝利。しかし他の三局は苦しい展開。吉田は執念の逃げで逆転勝ちするが、宇戸は二歩、西村は寄せきられて負ける。結局勝ち点の差でまたもや五位となった。
個人評価 (貢献度)
西村 ☆☆☆
大将として安定した戦いが期待されたが、勝負弱いところが出てしまった。特に終盤は常に迷っている印象だった。とはいえ長大戦の勝ちに貢献したので、評価すべきだろう。
吉田 ☆☆☆
序盤はうまいのだがまだ大局観がおかしい。特に福大戦は中盤全てが裏目に出ていた。自分の読みの実力を常に見極めておく必要があるだろう。
村上 ☆☆☆☆☆
実に河原以来の団体戦での昇段。当たりの問題もあるとはいえ、今回は全てしっかりと勝ちきった。上位者との差もわずかなので、次は全勝を目指してほしい。
畑堀 ☆☆☆☆
長大戦の勝ちは彼の功績が一番大きい。とはいえ福・九戦ではどこか集中力が切れていた。相手への威圧感も含め、勝ちに対する執着心が欲しいところである。
宇戸 ☆☆
残念ながら成績が振るわなかったが、当たりもきつかった。来年は核となってほしいので、自信を持って落ち着いて指せるよう心がけるべきだろう。
入口 ☆☆☆
部内での力をほとんど出し切れなかった感じだ。若いうちは強気を貫いたほうがいい。こんなもんじゃないと思うので、次は大活躍してくださいな。
内田 ☆☆
今回は残念な結果となったが、まだ始めたばかり。手筋や定跡といろいろ覚えることもあるので、今後に期待しています。
亀石 ☆(☆☆)
カッコは仕事分。控えが一人なので、全部しなくてはならず大変だった。将棋も順調に強くなっているので、来年は全試合出られるよう頑張ってください。
今回は課題も多く残ったが、熊大には今年誰も卒業しないという強みがある。それぞれがレベルアップして、優勝目指して精進してほしい。
文責 清水
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